「ん、ふ…… んっ、んっ」
独特のくぐもった水音が部屋の中に響く。
そんな音を立てているのは、緑の妖精――ミゥ。
彼女は今、自らの主人である悠の股間に顔を寄せて、十分に硬く、大きくなった怒張をその小さな口で一杯に頬張っていた。
時刻は朝。どうやら、今日の朝立ちを静める役、という事らしい。
「んっ、んぐ、ん…… ぷは、ちゅ、れろ、ん」
一度吐き出して、亀頭に口付け、舌を出して鈴口を舐め、カリを撫でて、また飲み込む。
そんな行為を悠はじりじりとした快感と共に眺めながら、相変わらず成長が早いな、などと思う。
ミゥは最初からそこそこ上手かったものの、歯が当たる事が結構あった。
サイズの違いからある程度は仕方ないと思っていたのだが、今では殆ど当たる事がない。
元々、おっとりしているように見えて、シゥと共に妖精の中では断トツで頭がいいらしいが、その事もあるのだろうか、と。
と、不意に背筋を駆け上がるものがあった。
「っ、ミゥ」
「ん……」
悠の切羽詰った声に対して、ミゥは怒張を一杯に咥え込んだまま、一つ頷く。
それを確認して、悠はミゥの口内で射精した。
「んんっ……!」
びゅるびゅる、とミゥの小さな口の中で怒張から噴き出した精液が雪崩を打つ。
不快だとは欠片も思わない。彼女にとっては相変わらず、甘ったるい極上の味がする。
どれだけ飲んでも飽きない、不思議な液体。
ミゥにとって精液とはそういうものだった。
「んッ……」
いつものように、すぐには飲み込まず、悠の射精が終わるのを待って、幾分柔らかくなった肉棒を口から抜いてから、口内に並々と溜まった精液を一息で飲み干す。
ごくり、という音が響く。
舌や喉に絡まりながらも胃の奥に流れた精液の味に、ミゥは幸せそうな吐息を一つ吐いた。
もっと欲しい。
行為の最中、ミゥが思う事はその一つだ。
最愛の人が与えてくれる甘美な液体を、もっと自分のものにしたい。
上の口だけでなく、下の口にも、後ろの口にも。
それこそ、内臓全てが白く染まるぐらいまで。
「……ふふ」
そんな想像にぞくりと身体を震わせ、下着の湿りを感じながら、ミゥは再び悠の肉棒を手に取った。
次は、アレを試してみよう。
「ご主人様、もう一回いいですかー……?」
「分かった、好きにしてくれ」
幾分か萎えた肉棒を、ミゥがその小さな手で再び扱いていく。
彼女自身の唾液を潤滑剤にして、妖艶な笑みを浮かべながら。
「ご主人様、今からやるのはちょっと新しい事ですから、もしも痛かったり苦しかったりしたら、すぐ言って下さいねー?」
「何をする気なんだ?」
「ふふ、多分気持ちいいと思いますよー」
そう聞いて悠が思う事は、今度は何をするつもりだろうか、という期待と、少しの恐怖である。
悠はミゥとは割と色々なプレイをしている方だ。好奇心旺盛でかつ楽しい事、気持ちいい事が大好きな彼女は、どこからか――恐らくはノア経由でだろうが――性行為に関する知識を仕入れてきて、しばしばそれを試そうと提案してくる。
それは誰もが知っている事であったり、はたまたマニアックな事であったりと、やや偏りがある。
問題なのは勿論後者の方で、彼女は楽しそうならば、自分の身体に高い負担が掛かるとはっきり分かるようなプレイでも試そうとするのだ。
いくら妖精炎で身体が治癒出来ると言っても、それを適当に扱うのはどうなのか。
そこを指摘しても「楽しくて気持ち良ければそれでいいじゃないですかー?」という享楽的な価値観で疑問符を浮かべられてしまう。
悩ましいものだ。
「では、いきますねー…… んッ」
開始を宣告して、ミゥが再び悠の肉棒をその小さな口一杯に咥えた。
柔らかい唇の感触を抜けた後、唾液に濡れた、更に柔らかい舌が亀頭を撫でる。
そこまでは先程と同じだ。
ミゥはそこで一拍置いて、上目遣いに悠を見上げて目だけで笑うと――更に肉棒を咥え込み始めた。
「お、おい、ミゥ!?」
「んッ……ぐ!」
人間と妖精という体格の違い故に、到底、悠の肉棒の全てが入る筈のないミゥのその小さな口内。
そこへどんどんと、ミゥは肉棒を押し込むように咥え込んでいく。
肉棒の三分の一がミゥの口内に消え、半分が消え。
三分の二が消えた辺りで、悠は肉棒の先端で肉を無理やりに押し広げるような感覚を得た。
「っ……!?」
快感の身震いと共に、悠はミゥを見遣る。
その顎の下、華奢な喉が歪に膨れ上がっていた。
「ぐ、う、ぅ……!」
やはり苦しいのか、苦悶の呻きが漏れる。
しかし止めるつもりはミゥには無く、それどころか更に肉棒を飲み込んでいこうとする。
喉の膨れは更に歪になり、喉の中ほどにまで達した。
ミゥの唇は、悠の肉棒の根元、陰毛の位置にある。
その小さな身体の身で、男のモノを全て飲み込むという事をやってのけた瞬間だった。
「うー……」
ミゥは喉を使って受け止めた悠のモノを、大きい、と改めて実感していた。
下で受け止めている時は一突きされる度にお腹がどうにかなりそうだったが、今思うとあのまま突き破っていない事が不思議でならない。
今の状態だって相当なものだ。モノが喉を塞いでいて、妖精炎の力を使わなければ呼吸は出来ないし、凄まじい異物感がある。
けれど行為としては手軽で、下と同じくらい締め付けが効く。快感で頭がどうにかなる事もないから、悠だけを気持ちよくする事が出来る。
――人間の女には真似出来ないでしょう。
ミゥはそう内心で笑みを浮かべながら、行為を続ける。
ゆっくりと頭を前後させ、喉の肉で亀頭を。舌で竿を扱く。
「っ、く、ミゥ」
「んっ、ぐ、くんッ、んッ…… んふふ」
悠が気持ちよさげな声を漏らすと、ミゥは喉を震わせて笑う。
その時の喉の微細な振動が、更に悠に快感を与えていく。
膣には真似し難い、まるでバイブレーターを仕込んだオナホールのような動作。
それを知ってか知らずか、ミゥは時折喉を震わせて、悠に呻き声を漏らさせていた。
「く、うっ……!」
不意に悠がミゥの頭を掴み、その手に力を込めた。
また絶頂が近いのだろう。ミゥはされるがままに髪を乱されながら、肉棒を扱く速度を速めていく。
起きてすぐ整えた髪だったが、悠に乱されるならそれもいいと思う。
荒っぽく扱われる事に精神的な快感を覚えながら、ミゥはひたすらに口奉仕を続けた。
「く、あ、ミゥっ!」
「ぐ、う……!」
悠の声が一際大きくなると、頭を掴んでいた手によってミゥは強く引き寄せられ、喉の最奥まで強制的に肉棒を嵌められた。
同時、肉棒を精の脈動が走る。
「っっ……!」
びゅるり、びゅるり、とミゥの胃に向けて直接精液が叩き付けられる。
一切の抵抗も休憩も許されない、強制的な精飲。
(あっ、あ……! これ、すご、ッ……!)
ミゥの背筋を走る、ぞくぞくとした快感。
それに身を任せるように身体を震わせ、甘い吐息を吐く代わりに、悠の肉棒をゆっくりと舌で舐めた。
悠は落ち着くと、ミゥの頭を掴んでいた事に気付き、慌てて彼女を解放した。
そして肉棒をゆっくりとミゥの喉から引き抜いていく。
無くなっていく異物感に少し物足りなさを覚えながら、ミゥは奉仕を終えた。
「……ミゥ」
「はいっ」
元気よく答え、己の主人の胸元に飛び込むミゥ。
大きい胴に手を回してしっかと抱き付くと、悠の大きな腕がお返しとばかりにミゥの身体を抱き、強く寄せてくる。
「俺もあまり言えた口じゃないが、あまり危険な事は俺に断ってからにしてくれよ?」
「ふふ、大丈夫ですよー。妖精の身体はそー簡単には壊れたりはしませんから」
長い耳に囁くようにして言われた忠告にそう答えるものの、ミゥはその悠の言葉がとても嬉しい。
全盛期の帝国にいた頃は、妖精は身を壊すような働きをして当然であり、それを気遣って言葉を掛けてくれる者など同じ妖精種ぐらいのものだった。
だから、自分を使う立場にある悠からの気遣いの言葉は、ミゥにとって甘露の一つだった。
その言葉一つで、悠の為に何処までも頑張れる。
「さ、ご主人様。今日を始めましょうか」
「ああ。おはよう、ミゥ」
「はい。おはようございます、ご主人様――」