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エルフの意地

 麻薬捜査の手伝い、という内容の依頼だったはずだ。
 どうしてこうなってしまったのかを、ミルドエルフの娘――アリシアは自問する。
「うお……」
 隣で腕を組んでいる、仲間のシーフの驚くような呆れたような声が聞こえて、無理もない、とアリシアも思った。
 やたらけばけばしい色で塗装された薄汚い室内。妙に鼻を突く甘い匂いが漂う程々に広いその空間には、男女のまぐわいの物と思われる声が充ち満ちている。
「お好きなようにどうぞ」
「あぁ…… ありがとう」
 ここまで案内してくれた男の声と共に、アリシアと仲間のシーフは一摘みほどの小袋を受け取る。
 中には白い粉末が少量。
 それを確認して、アリシアは金のツインテールを揺らしながら男に小さく会釈をして、シーフと一緒に室内へ歩み出す。
「……あとは、これを持ち出せばいいですのね」
「ああ。しかし……」
 どうする? とばかりにシーフはアリシアを見る。
 三十以上の身長差から見下ろす、どこか計るような視線。それに気押されて、アリシアは思わず視線を逸らす。
 しかしその先には物陰で執拗に絡み合う男女の肉体が見えていて、慌てて視線の矛先を変えるも、室内のあらゆる場所でそんな状態だから避けようがない。
 仕方なく視線を戻せば、シーフの視線をかち合うことになってしまう。
「……何もせずに出るのは、流石に無理そうですわね」
「そうだが…… いいのか?」
「仕事優先ですわ。さ、早く。驚きにしても入口でつっ立ってたら怪しまれますわよ」
 やや顔を俯かせて顔の紅潮を隠し、腕を組んだシーフを無理やりに開いた空間へと連れ込む。
 あまり座り心地がいいとは言えないソファに並んで腰掛け、怪しまれないように身を寄せ合う。
 それだけでばくばくと煩く高鳴る心臓に、アリシアは自分で苛立ちを覚える。
「……」
「……」
 そして沈黙。とは言えど周囲は静寂など欠片もなく、そのことが逆に無性に焦りを生む。
 そのせいか、そろりと太股に伸びてきたシーフの手を、アリシアは反射的に引っぱたいてしまった。
「な、なにするんですの!? ……あ」
「……おい」
 少しだけ赤くなった手をふらふらと振りながら、シーフは非難の視線をアリシアに向け、はあ、と息を吐いた。
 そんな彼の様子にいたたまれなくなって、アリシアは更に顔を紅潮させると共に俯かせる。
「なあ。気持ちは分かるんだが、せめて触り合いぐらいはしよう。お前もさっき言ってたろうが。何もせずに出るのは無理って」
「わ、分かってますわ……!」
「……それじゃ。これ以上おイタは勘弁してくれよ」
 言って、再びシーフの指先がアリシアの太股に伸びる。
「っ……」
 仕事故か、長く繊細な、しかし間違いなく男のものである指先がアリシアの太股を撫でる。膝側から、徐々に太股の付け根へと。
 その手は徐々に大胆になり、やがて指先だけでなく手の平全体で太股に触れてくるようになって、アリシアがお気に入りにしている若草色のワンピースの中にまで這い寄ってくる。
 やがて指先が、やや遠慮がちに布地に包まれた最奥へと触れた。
「っっ……!」
 びくりとアリシアの肩が震える。
「……嫌か?」
「当たり前、でしょう……!」
 問いに対して、アリシアは長い耳の先まで真っ赤にして答える。
 確かに、強い媚薬、幻惑系の麻薬だと聞いて嫌な予感はあったのだ。そして、潜入捜査を行う段階になって、男女で組むように指示された時も。
 そして予感が現実のものとなり、先程も、仕事優先だから、と覚悟はした。
 しかしそれでも、嫌なものは嫌なのだ。
 涙が溢れそうになるのを我慢して、隣のシーフを見上げる。
 視線は顔の横。彼の――人間のごく普通の耳。
 その視線に気付いたのか、シーフはやや眉を顰めた。
「俺が人間だからか」
「……っ」
「――ああ、そうかい」
 アリシアの沈黙を肯定と受け取って、シーフは唐突にアリシアへと覆い被さった。
「っ――!?」
 思わず悲鳴を上げそうになって、しかしその口元をすんでのところでシーフが塞ぐ。
「(さっきの案内の奴。こっちを見てる。頼むから大人しくしろ)」
 長い耳に囁かれる、懇願と命令の入り交じった言葉。それを聞いてアリシアは幾分か気持ちを落ち着かせる。仕事が優先なのだ。それを間違えてはいけない。自分に拒否権はないのだ。
「(適当に触る。それらしくしろ。後で殴るなり蹴るなり自由にしていい)」
 そう囁かれた途端、それまでの太股の触り方など生易しいとも思える手つきでシーフの手がアリシアの身体を抱いた。反射的に閉ざそうとした太股はシーフの足に割って入られ、開脚を余儀なくされる。そして股間に手の平が押し当てられてきた。
「っ、やぁ……!」
 服の上からとはいえ、乱暴な手つきで乳房が弄ばれる。股間に押し当てられた手からは、その指先が下着の布地を取り押さえるように動き、敏感なところに触れてくる。
「あ、駄目、っふ、ぁ……!」
 そして、乱暴でありながらもどこか手馴れた指先によって嫌悪と共に快感が湧き上がってくるのが分かって、アリシアは思わず身体を震わせた。
 嫌なのに。人間にこんなことをされるのは、嫌なはずなのに――
「あ、ひ、あっ……!」
 乳首と股間の淫核を同時に触られて、背筋にびりりと走った快感で身体の力が抜けた瞬間、シーフの勢いのままソファに押し倒される。
 人間の男の身体が全身でアリシアに触れてくる。小柄さとエルフゆえの非力さが仇となり、こうなればもう容易には抜け出せない。
 そしてなにより、そうされることでアリシアの頭の中で、ぷつりと何かが弾けて切れる音がした。


 柔らかい。シーフがアリシアの太股に触れて一番最初に思ったのはそんなことだった。
 今までに触れてきた、路地裏で煙草を吸っていたような薄汚れた女達。それとは雲泥の違いの柔らかさと艶やかさを持つ白めの肌。
 ミルドエルフのシャーマンのお嬢様とはこれほどのものなのか、と思うと同時、今までに寝た女達に散々やってきたはずの太股を撫でるという行為だけで、自分の興奮が跳ね上がっていくのが分かる。
 そして思い出すのは、このエルフの少女、アリシアと共に動いた依頼でのこと。
 惜しげもなくこの健康的な太股を曝して活動的に動き回っていたことが、非常に勿体無いものに思えてきた。
 もっと早くに知っていれば――
「っっ……!」
 ふと夢中になりすぎて、指先が太股の付け根、下着に包まれた部分へと触れた。
 びくりとアリシアの肩が震える。その段階になって、シーフは彼女の瞳に壮絶な屈辱と恐怖が湛えられているのが分かった。
「……嫌か?」
「当たり前、でしょう……!」
 問いにはすぐさま苛烈な答えが返ってくる。
 その反応に、シーフは少なくない衝撃を受けた。今まで幾度か共に行動していただけに、そこまで嫌われているとは思っていなかったからだ。
 アリシアの見上げる視線が突き刺さる。その先が僅かに顔から逸れているのに気付いて、シーフは彼女の反応の原因に思い当たった。
「――俺が人間だからか」
 心の中にどす黒い澱のようなものが湧き上がるのを感じながらもそう問うと、アリシアは僅かに喉を鳴らして沈黙した。
 それが答えだった。
 同時に気付く。流石に様子がおかしいと見たか、先程こちらまで案内してくれた奴がこちらを怪訝に見ていた。
「――ああ、そうかい」
 衝動に言い訳をしながら、シーフはアリシアに覆い被さる。
 これ以上もたついていては危ないのだ。
 長い耳に囁き、なるべく穏便に命令する。こんなところでポカをやらかすのは勘弁したいし、アリシアも同じはずだ。
 だから抵抗するな。
 自分の持てる技量を駆使して、白いエルフの少女を蹂躙する。
 柔らかい胸に触れ、揉み、先端を弄る。太股の奥、下着の布に包まれた秘所へ指先を這わせ、感じる場所を探る。
 そんな風に触れ始めて数秒で、シーフの頭の中から、こちらを監視している男のことは消え去った。


 気付けば、アリシアは酷い有様になっていた。
「やっ、あ、ひ、だめ、だめっ、ああっ……!」
 若草色のワンピースは乱されて乳房と股間は露出し、下着は取り払われてソファの下に転がっている。髪を束ねていたリボンは解け、金糸細工を壊したかのようにソファの上へ乱れ広がっている。
 くちゅりくちゅりと響く粘着質な水音は、シーフの指先が激しく往復する股間からのものだ。
 顔はすっかり上気していて、唇の端から涎が零れている。濡れたエメラルドの瞳はどこか危うげで、視線の先は定まっていない。
「だめ、だめですわ、わたくし、っあ、わたくしっ……!」
「イキそうか?」
「っ、はい、イく、イきますっ、あっ、あああっ……!」
 シーフがぐちりと中指の先で狭い膣壁を押し上げてやると、アリシアは身体をふるふると震わせて絶頂に達した。
 これでもう何回目の絶頂だろうか。それほど時間は経っていないが、押し倒した辺りからどうにもアリシアの様子は一変したようにシーフには思えた。
 背後をちらと見る。監視していた男の姿はもうない。
 けれど、シーフはもはやここまで来て最後まで致さないという選択肢は取れなかった。
「(まだだ。仕方ない。挿れるぞ)」
 正確に聞こえていたかどうかは分からないが、長い耳にそう囁くと、アリシアは小さく、しかし確かに頷いた。それを見て、シーフはすっかり屹立した己のものを露出させる。
 それをアリシアのすっかり濡れそぼった縦筋へと後ろから押し当てる。受け入れる準備などとうに整ったアリシアのそこはぬるりとしてモノの先端を受け入れた。
 一呼吸して、後背位で一気に最奥まで挿入する。
「っ」
「あ、ああっ」
 ぐちゅりと一際鈍い水音がして、人間の青年とミルドエルフの少女のまぐわいが始まった。
「あっ、やっ、おっき、あ、あっ、あ」
 胎内に打ち付けられる肉の衝撃に、アリシアはどこか虚ろな嬌声を漏らす。
 対するシーフは、情けない声を上げまいとするので精一杯だった。アリシアの胎内はその小柄さ、肉付きの通りに狭さと締め付けの良さを持つ名器で、更にはモノを咥え込んだ上で離さないとばかりに吸い上げるような奇妙な動きを見せたのだ。
 そしてシーフの身体の下で組み伏せた、日向のような匂いをさせる身体の触れ心地。細い首筋に顔を埋めれば、頬に当たる金糸の髪がまた心地良い。
「だめ、だめ、こんな……!」
「っ…… 何が、駄目なんだ」
「わたくし、にんげんに、にんげんにっ、おかされてるっ……!」
 喘ぐ中、そう言葉を漏らすアリシア。
 虚ろな、それでいてどこか歓喜の入り混じる声。
「っ、そうだ…… 人間に犯されてるんだ、お前はっ」
「あ、あぁ……!」
 背中を丸めて身体を縮め、胎内をきゅうきゅうと締め付け、アリシアは泣き喘ぐ。
 眦から幾筋もの涙が溢れ、ぽたぽたとソファに染みを作る。
 それを眺めながら、シーフはアリシアの柔らかく締まる温かな胎内にがんがんと肉を叩き付けていく。
 限界はあっという間に訪れた。
「っく…… いくぞ、種付け、してやるっ……!」
「ひっ、やっ、だめ、だめっ、あかちゃん、できちゃ――!」
 アリシアが抵抗の言葉を言い終わる前に、どろりとした何かが彼女の胎内に放たれた。
「――あ、あ、あっ」
 断続的に声を漏らし、受精の感覚に震えるアリシア。釣られて絶頂に達したのか、力を失った身体だけがふるふると恐れを孕んでいるかのように震えている。
「にんげんに、わたくし、にんげんに……」
 最後にそう呟くように言って、アリシアの瞼はすっと落ちた。
 同時、シーフとアリシアの結合部からぷしりと水音が吹き出す。気を失ったことによる粗相だった。
 黄金色の小水をまともに下半身に浴びる形になったシーフは、しかし悪態一つ付かずにモノを抜き去ってアリシアを介抱し、ひとまず服を直してから抱き上げ、絶えない周囲の嬌声が続く中を出口へと向かう。
「どうなされましたか?」
「強すぎたのかもしれん。連れが気絶した。今日はこれぐらいにしておく」
「畏まりました。それではこちらに」
「すまんな。贔屓にさせてもらうよ」

 後日。踏み込んだ官憲によって麻薬を使っていたその風俗店は強制的に終業となった。
 そしてその近くの広場で、顔に酷い青痣を負った人間の青年を、肉体的にも精神的にも金銭的にもこき使っているミルドエルフの少女の姿が見られたという。

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