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Repulsive Magic 2

※いわゆるガチでスカトロ(大)なお話です。
耐性のある方以外は閲覧を避けることをこの上なく推奨します。
また耐性があると思っていた方でも、これは無理だと思った時点で閲覧をお止め下さい。




 松明の頼りない火に照らされる、仄暗い闇。
 黴臭さを漂わせ、不気味に静まり返る、乾いた空気。
 忘却された地下空間には付き物のそれらを感じ取って、金糸の髪を持つ黒衣の少女はくいと眉を歪ませた。
 脳裏を過るのは、あまり思い出したくはない汚れた記憶。
「――よし。全員いるね?」
「ああ」「はい」「いるよ」「こちらもだ」
「よし。じゃあ先を頼む」
「任せろ」
 グループのリーダーを務める戦士の青年が点呼を取り、返事を確認して、盗賊の青年に隊列の先頭を任せる。
 それを眺めながら、黒衣の少女は隊列の中央、しゃんとした神官の少女の隣へと並んだ。二人の背後には狩人の青年が付く。
 いわゆる鉄板と言われる通りに隊列を組んで、一行はゆっくりと古い地下遺跡の中へと足を進めた。
「あの、大丈夫ですか?」
 眉を顰めている黒衣の少女が気になったのだろう。神官少女がそう小さな心配の声を掛けてきた。
「うん? ああ、心配は無用だ」
 黒衣の少女は答えて、その黒い外套のような服の下から伸ばした細い腕と手で、己の額を軽く揉む。
「お身体の調子が宜しくないのでしたら、すぐに仰ってくださいね」
「ありがとう。だが、そういう訳ではないから安心してくれていい。君こそ、無理はしないようにな」
「は、はい」
 心配そうな顔を少し恥ずかしげに赤らめ、神官少女は前に向き直る。
 ここに至る少し前のちょっとした騒動を思い出したのだろう。その時の彼女の初々しい様子を思い出して、黒衣の少女もくすりと笑う。
 黒衣の少女は自他共に認める人見知りだが、この神官少女のことはそう嫌いではなかった。久々の同性、同年代の同行者で、性格も悪いものではない。臨時でグループを組むことになると依頼の始めに聞いた時にはげんなりとしたものだが、彼女が居て良かったと思える。
 神官少女からしても似たようなもので、グループ内で唯一の同性、同年代の同行者ということで、何かと黒衣の少女に気を使っていた。本来男性がやや苦手な彼女にとって、黒衣の少女の存在は大変ありがたいものだったのである。
 しかし黒衣の少女はふと思う。私のことを詳しく知れば、彼女も私を敵と見做すのだろうか、と。
 脳裏を過るのは、あのふてぶてしい大男。
「――右手の部屋にいる。多分、スケルトンが四、五体」
 ふと、先頭の盗賊が足を止め、小さいが仲間にはよく通る声でそう告げた。
「分かった。三人で片付けよう。来てくれ」
「ああ」
 少し前に出て、戦士と盗賊に黒衣の少女が並ぶ。
 盗賊が言ったのは、少し前に見えている右手側の通路の先のことだろう。黒衣の少女も耳を澄ませば、確かにかたかたと骨の鳴る音が複数聞こえた。
 黒衣の少女はちらと戦士と盗賊の横顔を見る。どちらも少なからず緊張のある顔だ。無理もないことか、と胸中で呟き、す、と前に出た。
 通路手前につく。戦士と盗賊が一拍遅れてその後に続き、盗賊がその視線を通路とその先の空間へ数秒向けた。顔を見合わせ、問題なし、の頷き。
 そしてすかさず戦士が滑り込むように通路へと入った。盗賊と黒衣の少女が後に続く。
 戦士の持つ松明に照らされた通路とその先にある部屋には、しっかと直立して武器防具で武装した白骨――スケルトンが五体、いや――入口の陰にもう一体、合計六体確認できた。それほど特別なものではない、下級霊憑依などではなく魔術制御のもの。この手の遺跡にはよくある自動防衛用個体だ。
 侵入者を認識したスケルトンがそれぞれの武器を骨の手に、虚ろな眼窩に明確な敵意を灯して三人にそれぞれ二体ずつが殺到する。
「ふん――」
 黒衣の少女は鼻で笑うと共に黒衣に吊った二振りのスティレットを抜く。すぐさま、手近な一体――既に少女に向けて片手剣を振りかぶりつつあるスケルトンのその腕を瞬時に一撃した。黒く鋭利な刃を持つスティレットは、魔術強化が為されているであろうその骨を、しかし容易に切断。次の瞬間には、武器を失い、行動を中断しようとしたスケルトンのその隙を突いて、胸骨と腰骨の隙間から覗く脊柱を切断した。低位の魔術保持しか掛けられていないスケルトンはこの要所を破壊されるとほぼ行動不能に陥る。
 僅か三秒に満たない、一瞬の攻防。
「次――」
 音もなく足を滑らせて、少女が次に手近なスケルトン――物陰に隠れていた一体に標的を定める。
 しかし、彼女の身体に絡みつく悪辣な呪いが、そう簡単にはさせるものか、とあざ笑うかのように、この瞬間に鳴動した。
 黒衣の下、少女の腹に描かれた黒い魔術陣が、仄かな黒い光を放ち――ぎゅる、と小さくない音と震えを起こして、彼女の下腹を内側からゆっくりと膨らませる。
「っ――!?」
 下腹を中心として巻き起こったおぞましい感覚に、黒衣の少女の動きが鈍る。
 腹の奥から硫酸が溢れ出し、それに内蔵の何から何までもが溶けて下の穴から噴き出そうとするかのような――凄まじいまでの便意。
「く……!」
 すぐさま何もかも放り出してその場に屈み込み、黒衣をたくし上げて、腹の中の物を全てひり出してしまいたくなる衝動に駆られながらも、少女はすんでのところで次のスケルトンの片手斧による振り下ろしをスティレットで弾き逸らした。
 そこから少女は反射的にカウンターを狙う。先ほどと同じ、このタイプのスケルトンの弱点である脊柱。だが、ぐぎゅりゅりゅ、と鈍く重い悲鳴を上げた下腹からの衝動が邪魔をして、スティレットの刃は腰骨の縁を削るに終わってしまう。
「っ」
 口内で言葉にならない呪詛を並び立て、瞬く間に浮いてきた脂汗を頬に垂らしながら、少女はスケルトンの虚ろな眼窩を睨みつける。
 骸骨の人形兵士は少女の事情など意に介さない。再び片手斧を振りかぶり、単純だが正確な肩狙いの一撃を繰り出してくる。
 受け止めるべきか、避けるべきか――少女は今までの経験から、間一髪で避けることを選択した。その為のステップを踏もうとした瞬間、悪い予想通りに三度腹がぎゅるるる、と鳴る。
「う、ぁ――」
 下腹の一番奥――直腸がこれ以上なく張り詰め、脱糞が始まる寸前のような感覚が下腹に広がって、少女の全身から力が霧散する。結果、ステップを踏み切れずに少女の身体は横倒しに転倒した。しかし兎にも角にも身体が動いたことでスケルトンの斧は空を切る。もし受け止めることを選択していれば、止め切れずに浅くない一撃を貰っていただろう。
 だが安堵している暇はない。スケルトンはここぞとばかりに続けて少女へ斧を振り上げる。避けるにも受け止めるにも、少女の身体にはまだ力が戻っていない。言葉にならない悪態を吐きながら、少女は衆目下では使わない予定だった能力の行使を決定した。
 少女がスケルトンにスティレットの鋭利な先端を向ける。スケルトンの片手斧がそれを叩き割るように振り下ろされ――
「――『神よ、我が意志に力を!』」
 それよりも早く放たれた聖句と不可視の衝撃波が、スケルトンを粉々に吹き飛ばした。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ。助かった」
 駆け寄って身を起こす手伝いをしてくれたのは、当然と言うべきか神官少女だった。黒衣の少女が不利と見て、即座にその身に許された奇跡を行使したのだろう。神の力を借りて物理法則を超えた奇跡を生み出す神術は揺るぎない信仰と教義への深い理解、そして神に愛される素質を必要とするが、それ故に強力無比だ。
 張り詰める下腹の感覚に息を漏らしながら、黒衣の少女はなんとか立ち上がる。そこでようやく、戦士と盗賊の二人がそれぞれ胸骨を粉砕し、あるいは手足骨を踏み折って、おのおの二体目のスケルトンを沈黙させた。
「ふう。 ――すまない、確認ミスだった」
「いや、気にすることはない。こういう時のために組むのだから」
「はい。ご無事で何よりです」
「そういうことだ」
 盗賊の青年の謝罪を遮って、黒衣の少女は息を整えつつ神官少女にも応じる。
「よし―― ここには、特に何もなさそうだ。次に行こう。この調子で片付けて行かないとね」
 戦士が話題を変えつつ、部屋を出る。盗賊がそれに続き、神官少女が少女を心配そうに見上げる。
「心配ない。 ……行こう」
「はい」
 暴れる腹を何とか宥めて、黒衣の少女はゆっくりと歩みを進めた。


 そんな初遭遇から、およそ十五分後。
「――っ!」
 がきん、と硬質なものを打ち鳴らす音が乾いた部屋に響く。
 すんでの所で岩石蜘蛛の鋭利な足を弾いた黒衣の少女は、いまだ腹に貯まる便意を堪えながらも反撃に転じる。
 関節を狙っての一撃。幾分か鋭さは鈍ってはいるが、それでも岩石蜘蛛の多足の一本を断ち切るには十分な威力だ。
「『神よ、我が意志に力を!』」
 背後では、神官少女の聖句と共に不可視の衝撃波が放たれ、一匹が滅茶苦茶に潰れながら吹き飛ぶ。
 物理防御の高い相手を打ちのめすには、魔術的な打撃は流石に効果的だ。だが、しかし――
「くそ、数が多すぎるっ!」
 既に床は岩石蜘蛛の遺骸で埋もれかかっているというのに、奥の巣穴から彼らが湧き出してくるのが止む気配は一向にない。
 緊張が続き、各々の顔に浮かぶ疲労も色濃い。特に戦士と盗賊はそろそろ限界が近いのか、得物の振るいに危ういものが見え始めていた。
 囲まれてさえいなければ、一時離脱を提案するところだろう。
「く――」
 あるいは黒衣の少女の容態が完全であれば、彼女が突破口を切り開くことも出来たろう。いや、単独で殲滅することも容易かもしれなかった。
 しかし、激しい動きを伴っているせいもあって、今は凄まじい便意が少女からあらゆる力、とりわけ思考能力を奪っていた。
 今の少女は殆ど身体に染み付いた反射で岩石蜘蛛を捌いている。その脳内にある思考は、
「(はやく、うんちしたい)」
 排泄したい。今すぐにでも、漏らしてでも。全員の眼前、戦闘中であっても。その一念だった。
 それ故に、少女の動きを鈍らせている。傍から見ても、少女の動きに全く鋭さがないのは明らかだった。勿論、それが疲労ではなく便意によるものだとまでは分かりはしないが。
 だからだろう。この局面で、後ろからグループの全員をよく見ていた神官少女がその選択をしたのは。
「『汝の責務を我が内に――』」
 攻撃のものとも回復のものとも異なる、特殊な聖句。
 それを紡ぎ終えて、神官少女が脂汗を垂らして苦しむ黒衣の少女の背中にそっと触れた。
「――っ!?」
 途端、黒衣の少女の腹から一切の便意が消えた。それまで我慢していたことによる疲労や苦痛までも。加えて、全身に力が漲ってくる。久しく体感したことがないほどの好調を得て、彼女の思考能力も霞がさっと晴れるように瞬く間に取り戻された。
 何事が起きたのかという疑問符を残しつつも、この敵をすぐさま殲滅して――そう少女が思った瞬間だった。
「ひっ、あっ、うあああぁっ!?」
 そんな叫びと同時に、びちぶりゅぶばびちっ、という、少女が聞き慣れた汚らわしく破滅的な音が乾いた部屋に響いた。
「!?」
 少女は最初、自分が漏らしたのかと思って、反射的に尻を押さえた。だが、そこには変わらず硬質で野太い感触がある。
 それにも関わらず、ぶりゅぶりゅぶりゅ、びちびちびち、ぶりぶりぶり、と豪快に続く音。そして「ひっ、あっ、あっ、ふうっ、ああっ」と反射的に喉から漏れるようなか弱い悲鳴。
 まさか、と少女は反射的に背後を振り向いた。そこにあったのは、忌まわしい記憶の再現。
「うあっ、あっ、あ、あっ、あああっ」
 幼さを残した綺麗な顔を紅潮させて震えながら、立ったまま腹と尻を小さな手で押さえている神官少女。
 凄まじいまでの排泄音を白い聖衣に包まれた小振りな尻から響かせ、急激に膨らませている。
「え、あ、え――?」
 漏れた戸惑いの声は誰のものだったか。戦士も、盗賊も、狩人も、今の状況を忘れたかのように神官少女の痴態に言葉を失くして見入っていた。それほどまでに衝撃だったのだろう。見た目清楚でしゃんとした神官らしさを見せていた彼女が、その見た目に到底吊り合わない凄まじい量の大便失禁を繰り広げていることに。
「あっ、あっ、あっ、あ――」
 凄まじい排泄が始まってから三秒か五秒が経過した頃、ようやくというべきか、その聖衣の裾からぼたぼたびちゃびちゃと茶色い落とし物が石の床に零れ出した。神官少女の顔がさらなる羞恥で真っ赤に染まる。あまりの感覚にか、屈み込むこともせずに、ただ衝動に震えるまま立ち尽くして、異臭漂う汚物を皆の眼前に晒していた。
「――っ!」
 いち早く我に返ったのは、やはり黒衣の少女。彼女を正気に戻らせたのは、岩石蜘蛛が足を振り上げる風切り音だった。
 すかさず振り返り、スティレットで振り下ろされる足の関節を一撃。もう片方で頭部ごと胴体を一撃する。形振り構ってはいられないと、返す刃の上に蒼い炎を顕現させた。そのまま振り払うと、飛散した蒼炎は炎にある程度の耐性を持つはずの岩石蜘蛛を絡め取るようにして焼き尽くしていく。
 黒衣の少女がそうすることで、残りの三人も我に返る。少し慌てつつも、未だ脱糞を続ける神官少女を守るようにして。
 そこからは程なくで岩石蜘蛛の群れは焼却された。黒衣の少女が今までの不能をまとめて返すように動き、あっという間に巣穴へ到達。その奥へと炎を送り込み、焼き尽くしたからだ。
「――大丈夫か?」
 スティレットを収め、黒衣の少女はすぐさま神官少女に駆け寄る。神官少女は真っ赤な顔に涙目でこくりと何とか頷くも、ぶばびちびち、と尚も音高い排泄音を響かせているのを聞けば、ただの痩せ我慢なのはすぐに分かる。
「悪いが、しばらく出ていてくれないか。警戒を頼む」
「あ、ああ。勿論」
 戦士の青年にそう言い頼むと、男勢の三人は神官少女に心配げな視線を残して部屋を出ていった。彼女がひり出しているあまりの量の排泄物に、単なる粗相ではないと察したのだろう。
 それを見送ってから、黒衣の少女は神官少女を軽く抱くようにして、背中を撫でる。
「済まないな。私のせいだ。 ――さ、こっちへ」
「い、いえ…… っあ」
 肩を貸して、神官少女を部屋の隅、蜘蛛の死骸が転がっていないところへと導く。神官少女が黒衣の少女に釣られて一歩をぎこちなく踏み出す度、びちゃりと大きい便塊が茶色く汚れた白い裾から落ちる。下痢が入り混じった、柔らかい軟便。
「脱げるか?」
「う、あ、うぅ…… お、お願い、します……」
「分かった」
 幾分か逡巡して、神官少女はそう願った。自力では脱げないと判断したのだろう。そして、羞恥心よりも、漏らし続けていることへの嫌悪が勝った。そうだろうな、と内心で黒衣の少女も思う。
 黒衣の少女は少し迷って、脱がすよりもたくし上げる方が早いと判断した。更に裾を汚してしまうかもしれないが、あまり悠長にはしていられない。
 所々を茶色く汚した聖衣の裾を持ち上げて――
「うん?」
「……っ」
 聖衣の下に見えてきたものに黒衣の少女が声を漏らすと、神官少女が羞恥からか僅かに身を捩る。
 神官少女の下着は、その形の良い臀部を包むように覆う紙製のもの――紙おむつだった。しかも、簡単な魔術加工までされている品。かなりの高級品の上に使い捨てだが、清潔感はあるし、実際に受け止めた大小便をある程度殺菌する効果と、防臭の効果が付加されている。黒衣の少女は知らなかったが「野外での排泄などとんでもない」と言う、これさえ着けていれば周囲に知れ渡る可能性がやや低い粗相よりも、グループメンバーに花摘みに行くと言い出すことや、野外で排泄行為という無防備に過ぎる時間を生み出すことを嫌う冒険者には人気の品である。
 このおむつがなければ、より凄惨な状況になっていただろう。しかし、流石に許容量を超えた便を受け止め切れず、おむつの全体はこれ以上ないほど膨れ上がって茶色に染まり、端からは内で今も途切れることなく生み出されているものに押されてぼたぼたと汚物が漏れ、すらりとした太腿に茶色の筋を作り出しており、目を背けたくなるほどの見るも無残な状態になっている。
「いや、すまない。 ……私も似たようなものを着けているからな」
「え――」
「切るぞ。裾を持っていてくれ」
「は、はい」
 黒衣の少女は小さなナイフを取り出し、神官少女のおむつを切って取ろうと試みる。
 切るのは両横側の二ヶ所。便は既にそこにも広がっていて、にちりと刃に絡みつく。僅かに苦労して切り離すと、その瞬間に防臭の魔術も破壊されたのか、吐き気を催すほどの動物的な便臭がむわりと広がった。黒衣の少女も、慣れた臭いとは言え咄嗟に口元を抑えたくなるほどのもの。
「……」
「うう……」
 黒衣の少女は慎重に神官少女のおむつを下ろす。
 ずしりと重いおむつを神官少女の尻から剥がすように開くと、途端に溢れていたものがぼたぼたと石の床に落ちた。更に、茶色に染まった尻からはようやく解放されたとばかりに、むりゅむりゅぶりぶりと新しい汚物が産み落とされてくる。
「ひっ、う、あぁ……」
 他人の目と鼻の先で脱糞しているというあまりの恥ずかしさにか、神官少女が嗚咽と共に泣く。もう尻の穴を締める力もないのだろう。柔らかいとはいえ野太い大便がみちみちと途切れることなくひり出てくる様は圧巻と言えた。
 黒衣の少女にしても、頬を染めずにはいられない。恐らく――いや、既にほぼ確信になりつつあるが、この神官少女がひり出している糞のほとんど――七、八割は黒衣の少女の腹に詰まっていたものだろうからだ。それがこうして目の前で他人の、それも同年代の少女の尻からこれほどまでに出てくるのを見てしまうと、複雑な羞恥心に襲われる。
「気にするな。遠慮なく、というのも難しいだろうが、出してしまうといい」
「っ、うっ、ぐすっ、ふうっ、うぅ……」
 こんもりと大便が載ったおむつの上に、ぶりゅぶりゅびちびちみちみちむりゅむりゅぶびっ、と茶色の大蛇がとぐろを巻くように、更に大便の山が築かれていく。
 その凄まじい光景に半分目を逸らしながら、黒衣の少女は自らの腹にも手をやった。黒衣の下では、神官少女の大脱糞に触発されてか、また魔術陣が仄かに黒く輝き、少女の腹を膨らませていた。お前もここで出していけ、とばかりに、ぐるぐるぎゅるぎゅると鳴るのが鬱陶しい。
「……私も、まだ、出そうだ」
 少し悩んで、この先、同じ醜態を晒す訳にはいかないと、黒衣の少女も自身の尻に手を伸ばした。そこにある野太い硬質なもの――肛門栓を掴み、支えを外す。途端、みちみちと抜け落ち始める異物の感触に、少女は声を漏らした。
「う、あ……」
 僅かに上擦った声。小さな菊を全開まで押し広げて、直腸を完全に制圧しているその栓がぬぷりと抜けると、続けざまに腹を膨らませていたものが下ってくる。黒衣の裾をたくし上げて、神官少女が出しているその隣に、黒衣の少女も排泄を始めた。
「ふ、あっ、あ…… っ、う、つっ……」
 傍らから響く神官少女の嗚咽混じりのものとは違う、明らかな快楽を含み、それを堪える声。
 栓が抜けてなお、閉じることを忘れたかのようにぽかりと開いたままのそこから、極太の茶色が姿を表す。勢いは神官少女よりもやや弱い程度だが、量は勝るとも劣らない。乳菓子のような柔らかめの軟便が瞬く間に山となって、神官少女がひり出した山の隣へと築かれていく。
「う、く……」
 じん、と痺れるような甘い感覚が黒衣の少女の臀部を包む。息が荒くなっているのは、気張っている所為だけではあるまい。開き切って汚物を吐き出す尻穴のすぐ隣、秘めやかに閉じた無毛の縦筋は、確かにしっとりと濡れていた。少女自身も下腹が熱くなっているのを実感していて、気持ちいいと思う反面、とてつもなく忌々しいと思っている。
 自分とその片割れを縛っている鎖は、まだ消えていないのだと。


 ややあって排泄を終えた二人は、それぞれの後始末を終えて、なんとも気まずい空気と悪臭の中、身嗜みを整えて立ち上がった。
「――」
 陰鬱な思いで黒衣の少女が部屋を見回す。黴臭い部屋で、大量の岩石蜘蛛の死骸と、一部焼け焦げたそれと、床に零れた緩い大便と、それらが山になっている隅。どれもが強烈な悪臭を発していて、一秒でも居たくはない部屋になってしまっている。今すぐにでも劫火で全てを焼き払ってしまいたかった。
 だが、そういうわけにはいかない。この部屋はまだ「未探索」であり、蜘蛛の巣に搦められてはいるが、いくつかの遺物が残っているのが見えている。大抵のものを焼き払い、損壊させてしまう劫火を全力で行使する前に、通路で警戒を買ってくれている仲間達を呼び寄せ、綿密な探索を行う必要がある。
 それがどういうことなのか、神官少女も分かっているのだろう。口元を抑えつつも、視線は俯き加減で、頬は赤く染まったままだ。涙を拭いたばかりの目元はより赤い。
「構わないな?」
「は、い……」
 黒衣の少女の確認に、神官少女はこくりと頷く。ちらと視線を向けるのは、部屋の中ほど、唯一蜘蛛の死骸が殆どない空白地に溢れている大便と、隅で山といるそれらと、その下にある使用済みの紙おむつ。神官少女が何をしたのかを如実に表している痕跡だ。それをもう一度――あと最低でも二日ほどは行動を共にする仲間に見られる。それによる羞恥はこの少女にとって並大抵ではない傷を残すだろう。しかし、それを押し殺して、神官少女は頷いた。
 黒衣の少女はそれに関心と敬意を払い、少し昔を思い出す。そしてすぐに打ち消して、通路に向かって仲間を呼んだ。
 探索の合間、神官少女は時折突き刺さる視線に顔を赤くして俯いてはいたものの、泣くことはついに無かった。

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