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フィフニルの妖精達09「旅行は突然に ‐1stDay‐」

「――ふんふん、ふん、ふんふんふん♪」
 楽しそうに鼻歌を歌っているのは、俺の膝の上に座っているミゥだ。
 何をするでもなく、ただ時折響く振動に身体を任せ、左右に揺れながら実に楽しげに歌っている。
「何の歌なんだ?」
「ニスグゥの乱れ散る頃に、という歌ですよー」
「ニスグゥ?」
「ニスグゥというのは、自然界で言う桜のような木の事じゃな」
 俺の疑問に答えたのは、俺の左腕にしがみ付くようにして身を寄せているヅィ。
 彼女からすれば非常に大きい文庫本を大変そうに読みながらも、左手を解放してはくれない。
「寒い時期から暖かい時期の変わり目――その僅かな間にだけ見事な朱色の花を咲かせる樹木での。それにしてもミゥ、お主、そんな歌を知っておったのか?」
「えへへ。歌の意味が分かって、気に入ったのはつい最近ですけどねー」
「歌の意味?」
「『ニスグゥの乱れ散る頃に』は人間の作った歌で、恋を謳った内容のものですね」
 次いでの疑問に答えてくれたのは、外の景色を見ながら、小さな手帳を片手に時折何かを書いているネイ。
 ちらりと覗く手帳のページに書かれているのは文字らしきものなのだが、妖精の言葉なのか俺には全く読む事が出来ない。
「確かに、歌と踊りを好む妖精の間では、割に有名ではない歌です」
「恋や愛など無縁じゃったからの、妖精郷の妖精には」
「そう、ですね」
「うふふ」
 ヅィに肯定の応答をしたネイに、ミゥが含みのある笑いを送る。
 その笑いの意味する所を知っている俺は、ミゥの頭を軽く叩いた。そしてそのまま撫でる。
「ふふふ……」
「――さて。ミゥ、そろそろわらわの時間じゃぞ。そこを退け」
「ふふ、慌てないで下さいよー」
「時間はきっちり守れよ。ヅィの次は俺なんだから、ヅィが遅れたら俺にも影響が出ちまう」
 やや苛立ちを含んだヅィの声をのらりと避けたミゥに、次いで鋭い言葉を投げかけたのはシゥ。
 そんな彼女はヅィとは逆、俺の右腕にしがみ付くように身を寄せていて、やはり片時も解放してはくれない。
「シゥはいいじゃないですかー。ボクの前だったんですから」
「それを言ったらお前はいっつもご主人にべたべたしてるだろうが」
「あなた達……」
 と、そんなやり取りに頭が痛そうな声を上げたのは、先程からこちらをやや苛立たしげに見ていたピア。
 こちらというよりは、俺の膝の上を順番で占拠しているミゥ、ヅィ、シゥに対してなのだろうが。
「少しはご主人様に対して自重するという事を知らないのですか? あなた達がまとわり付いていたら、ご主人様が休めないでしょう」
「まあまあピア。折角の旅行なんだから」
「しかしですねご主人様、最近のこの三名は……」
「ピアは自分がご主人様の膝に座れないから腹立たしいんですよねー?」
 ――ぐさ、と。
 不意に放たれたミゥの発言がピアに対してそんな音を立てたように思えた。
「――な、何を馬鹿な事を!」
「そうなのか?」
「違います! それは勿論、ご主人様の膝の上が嫌という訳ではありませんが――」
「照れるな照れるな」
「照れてませんッ!」
 シゥから飛んだ野次に、ピアがやや顔を赤らめて否定する。
 その様子にヅィは笑って俺の膝から退き、
「悠、ピアを膝の上に乗せてやってくれんかの」
「分かった」
「ヅィ! ご主人様も分からなくていいですから!」
「遠慮するな」
「遠慮など―― あっ……」
 ピアの両脇を捕まえて、俺の膝の上へと置く。
 ぽふ、と俺の膝の上に納まったピアを軽く抱き締めながら、その頭を撫でた。
「う…… ご主人様……」
「ほら、落ち着いて落ち着いて。怒ってたら折角の可愛い顔が台無しだろ」
「は、はい……」
 途端に大人しくなったピアが、俺の腹に背中を預けてくる。
 頭を撫でてやると、彼女は目を閉じながら穏やかな息を吐いた。
「やっぱりご主人の上がいいんじゃねぇか」
「黙りなさいシゥ。あなたはもう少し遠慮というものを知った方がいいのではないですか」
「るせぇ」
 言葉の応酬を交わす二人に笑いを浮かべ、俺はふと外の景色に目を遣った。
 真っ青な快晴の空の下、青々とした緑を湛えた山々が、バスの窓の向こうを流れていく。
「山奥の温泉旅館、か」
「温泉というと、ミネラル分を多く含んだ天然のお風呂ですよね?」
「そうだな。まさか今の歳で行く事になるとは思わなかった。しかも君達と一緒に」
 そう。
 俺達七人は、チャーターされたバスに乗って、山奥にあるという温泉旅館に旅行に行く事になった。
 どうしてそうなったのかを説明するには、たった数時間前の夏美さんとの会話まで遡る事になる。


「――はい、これで手続きは終わり。ご苦労様」
 俺とピアが先程協力して必要事項を埋めた書類を纏め、マンションの管理人兼オーナーの瀬川・夏美さんはそう労いの言葉を掛けてくれた。
 妖精風邪が完治したのが昨日の事。
 俺は夏美さんに言われていた通り、ピア達六人をこのマンションの住人とする書類を提出する為、数ヶ月ぶりに夏美さんの部屋までやって来ていた。
「あの、私達は……」
 ピアの不安そうな声。
 しかし夏美さんは、大丈夫、という一言で彼女の言葉を遮った。
「状況は大体把握してるから。悪いようにはしないわ」
「……ありがとうございます」
「ただし」
 夏美さんは薄い笑いと共に、ピアに指を突きつけ、
「貴女達の所為でゆーくんに何かあった場合、その限りではないわ。そこだけ気を付けてね?」
「は、はい」
 よし、と言って微笑みながら書類を片付ける夏美さん。
 そして次に俺とピアの前に出されたのは、表紙に広告のように様々な文字が踊る一冊の冊子。
 なんというか、一見すると旅行のパンフレットのように見えるのだが。
「なんですか、これ」
「何に見える?」
「旅行のパンフのように見えますけど」
「せいかーい」
 一見何だか間抜けなやり取りをして、夏美さんは楽しげにその旅行パンフとやらを手に取った。
「ちょっとマンションの増築を計画しててね。旅費は出すから、一週間ぐらい旅行に行ってみない?」
「一週間、ですか」
「そう」
 一週間、か。
 確かに、夏休みまであと数日ではある。
 というか、夏休みに特に予定がある訳でもない俺は全く問題ないのだが……
「ピア、君達は? 俺は特に何かある訳ではないから大丈夫だが」
「そうですね……」
 難しい顔で考え込むピア。
 ややあって、ぽつりぽつりと言葉を転がす。
「……少しなら、ここを離れるのもいいかも知れません。もし追っ手が来ていれば、この辺りを探すでしょうし……」
「成る程。なら、決まりだな」
「はい。七名様追加ね」
 言って、パンフに何かを書き込み始める夏美さん。
 俺はそろそろ十二時を指す時計を一瞥して、昼食の準備をしてくれているであろうシゥとノアの二人を待たせない為にも席を立った。
「では夏美さん、そろそろ失礼します。旅行の日程とか行き先が決まったら、また教えて下さい」
「何言ってるの。今日から一週間よ?」
「――はい?」
 今日から一週間?
「夏美さんこそ何を言ってるんですか。まだ夏休みまで数日ありますよ?」
「やると決めたら即実行が私のモットーだから。出発は午後三時。それまでに荷物をまとめて駐車場に出てなさい」
「ちょ、学校はどうするんですか」
「私の方から連絡しておくから大丈夫。さ、早く早く――」


「……まったく、強引なんだからなあ」
「瀬川さんの事ですか」
「ん、ああ」
 ふと零れた呟きに、ピアが応える。
「確かに、少々強引な方でしたね。病院の時もそうでしたが」
「らしいな。あれで妙なコネを沢山持ってるからな……」
 俺が轢き逃げにあった事件は、俺にもヅィにも警察からの連絡は無く、全て夏美さんが手続きや処理を済ませてしまったらしい。
 犯人は捜索中であり、報告を待つだけの状態だ。
「悠には悪いが、わらわはあまり夏美の事は好かぬの」
「ん、何でだ?」
「あの手の者は面倒事を全て自分の手の内で処分してしまいよる性格じゃ。故に信用が置けぬ」
「んー、まあ、慣れだな、その辺りは。あのペースに慣れてくれば、気にならなくなるさ」
「――少年の言う通りだ」
 前の座席から届いた、若々しい男の声。
 視線を向けると、ある見慣れた顔の人がいつの間にか座席の背もたれの脇からこちらの目を捉えていた。
「あ、山田さん」
「彼女に信用が置けないのは彼女との付き合いが短い故の事だ。彼女の行動に慣れていないからだな」
 何の変哲も無い七三分けの黒髪に、精悍な顔つきの男性。
 ちょっと顔のいい、何処にでもいるサラリーマン。
 そんな形容詞がとても似合うのが、俺の部屋の一つ下の階の住人の一人、山田さんだ。
「それにしても少年、いつから君はそんな美女達を侍らせる様になったのかね。まさに両手に花だな。いや、全身、か?」
「ええ、まあ」
 膝の上にはピア。左手にはヅィとミゥ。その横にネイ。右手にはシゥ。その横にはノア。
 そんな感じでバスの最後尾席全部を占有している俺達には、バスに乗った時から時折好奇の視線が投げかけられていた。
「なんじゃ、この特徴の無い男は」
「こら、ヅィ」
「はは、構わない。好きでそういう容姿を目指しているのだから」
 ヅィの訝しげな視線と言葉を笑って流す山田さん。
 この人、容姿と苗字は特徴らしい特徴が無いのだが、見ての通り性格が結構変わっている。
「山田だ。宜しく、小さなお嬢様」
「……わらわはヅィじゃ。お嬢様などと呼ぶでない」
「ヅィ、か。分かった」
 言って、山田さんは顔を前に戻す。
「奇妙な輩じゃ」
「確かにそうだけどな」
 ヅィの漏らした呟きに同意しつつ、彼女の頭を撫でる。
「まあ、これから一週間顔を合わせる事になるかも知れないんだ。宜しく頼むよ」
「分かっておる。 ――ピア、そろそろそこを代わらぬか」
「あなた達三人が決めていた、一人当たりの時間が経過するまで、まだまだありますよ」
 思いの矛先を変えたヅィに、ピアはしれっとした顔で答える。
「お主が座りたそうな顔をしておったから臨時で入れてやっただけじゃ。はよう退かぬか」
「喧嘩するな。いくらでも時間はあるだろ」
「分かっておらぬな、悠。今という時間は今しか無いものなのじゃ。掛け替えの無いものをみすみす失う訳にはいかぬじゃろ」
「立派な台詞だが、使い所を間違えてる気がするぞ」
「間違ってなどおらぬわ。さあピア、分かったら退くがよい」
「分かりました。が、今を大切にしたいのは私も同意見ですので退くのはお断りします」
「く、生意気な……」
 やいのやいの、と二人の口論は続く。
 俺はそんな二人に少しばかり呆れて、ふと視線を逸らした。
 バスの窓から覗く、深緑の緑が包む山々。
 これからの一週間。温泉旅館での一週間はどんな日々になるのだろうか。
「――賢しいの」
「あなたこそ」
 やや睨み合うピアとヅィに、それを面白げに観戦するシゥとミゥ。
 喧嘩している二人と、俺を交互に見やって困惑の表情を浮かべるネイに、我関せずとでも言うかのように読書に没頭するノア。
 俺はそんな彼女達を一瞥して、先の一週間に思いを馳せる事にした。


「ほぅ」
 遥か山奥にある小さな町の外れ。
 そこで停車したバスから降りた俺は、思わずそんな息を漏らした。
 というのも、俺の眼前には、見事な造りの旅館が俗世を嫌って隠れるようにひっそりと建っていたからだ。
 生い茂る木々に隠れてはいるものの、かなり広い敷地を持っているように見える。
「こんな所に建ってて商売する気あるのか?」
「普通のお客は相手にしてないような高級旅館なのかもな。さ、取り敢えず入ってみよう」
 立地場所と外見の豪華さのギャップに少々気後れしつつ、エントランスに入る。
「わぁ…… なんというか、凄いですね、ご主人様」
「あ、ああ……」
 そう感想を漏らすのはネイの声。
 中に入ると、これまた豪華な光景が俺の視界を圧巻した。
 高級そうな木材を惜しみなく使い、広々としているが荘厳な雰囲気を湛えたエントランス。
 その奥に広がるロビーは、純和風の雰囲気を失わぬままに洋風の造りを取り入れ、落ち着きと爽快さを持ち合わせている。
「――お待ちしておりました」
 気付けば、いつの間にか俺の前に一人の男性が立っていた。
 きっちりとしたスーツを着こなしている、もう六十台は過ぎているであろう老人。
 しかしその姿勢に老いは見られず、瞳にも生気が漲っている、不思議な老人だった。
「夏美様からご連絡は頂いております。こちらへどうぞ」
「あ、ああ。済みません」
 一礼して俺達を先導する老人。
 エントランスからロビーへと上がると、脇に控えていた和服の女性がすかさず俺の荷物を取りに来た。
「お荷物を」
「お願いします」
 言って肩から提げていた鞄を預けると、女性は小さく会釈した後に腰を低くした。
 ピアやヅィに視線の高さを合わせ、同じように彼女達の小さな鞄をも預かる。
 老人とその女性に列の前後を任せる形でロビーを横切り、廊下へと入る。
「……この辺りも全部、夏美の手配という訳かの」
「だろうなあ…… まあ、こういう事が今までになかった訳じゃないから、安心していい」
 普通の人間なら、身長六十cmほどしかない彼女達に困惑を覚えるだろう。
 そういう所を老人も女性もまったく見せなかったという事は、予め夏美さんから詳細な連絡が行っていたと考えるのが妥当だ。
「小学校の遠足の時とか、中学高校の修学旅行とか…… 夏美さんが手を回しているんじゃないかって感じの似たような事が何回かあったからな」
「わらわは逆に不安になってきたぞ」
「ご主人様には申し訳ありませんが、私もです」
「……もう少し自重するように夏美さんに言っておく。今回はちょっと我慢してくれ」


 ややあって、俺達は通路の突き当たりに位置する部屋へと案内された。
「何か御用がありましたら、部屋にあるインターホンで、飯田を呼べ、とお申し付け下さい。それでは、ごゆっくり」
「ありがとうございます」
 頭を下げると、老人は会釈して去っていった。
 ふぅ、と息を吐いて、取り敢えずは部屋に入る。
 先程廊下で挙げた、いつぞやの時のように特級のスイートが待ち受けているのではと身構えたが、十分な広さを持っている事以外には別段豪華ではない部屋のように見えた。
 ただ変わっていると言えば、部屋が二つに分かれていて、窓側の部屋はホテルのような洋風に。廊下側の部屋は畳敷きの和風に分かれていた事だろうか。
 俺達全員の荷物を持った女性が、和風部屋の隅に荷物を置いて、会釈と共に立ち去る。
 そこで俺はまた一息吐いて、取り敢えず洋風部屋のベッドに腰掛けた。
「――さて。どうするかな」
「ご主人様、ご予定は何か?」
「いや、全くない」
 旅行に来ておいて何故予定が無いんだ、と責めないで欲しい。
 何分、一週間もの旅行に行く事が決定してから、ものの数時間しか経っていないのだ。
 そんなに早く一週間分の予定が決まる訳がない。
「ボクとしては、ご主人様と一緒にいられるなら何だっていいんですけどー」
「ありがとうミゥ。でも、流石に食う寝る食う寝るの繰り返しはまずいからな」
 早速というか何というか、俺に身を寄せてくるミゥの頭を撫でながら、俺は靴を脱いでベッドに上体を預けた。
「近くに観光できる場所でもあれば、と思ったんだが、君達の事を考えると無理だしな」
「すまんの」
 謝りながら、その小さな頭を俺の胸元に預けてくるヅィ。
 感触のいい紫電の髪を撫で梳いてやると、猫のように目を細めてすり寄ってくる。
「まあ、探せば何かあるんじゃねぇか。こんな豪華な旅館だし」
 言って、俺の太腿の上に腰掛けてくるシゥ。
 彼女の心地よい重さを身体に感じながら、うーむ、と唸りを上げる。
 確かにこれだけ広そうな旅館なら、それなりの娯楽室とかがありそうではある。
「……ん?」
 ふと、右腕に新たな重みを感じて振り向くと、そこには相変わらず無表情なノアの姿があった。
 俺の右腕上腕にしがみ付きながら、その黒曜石の瞳でじっと俺を見つめている。
「……どうした?」
「否定」
 と、何故かそんな事を言って目を閉じ、その小さな頬を俺の上腕にすり寄せてくる。
 気付けば、俺はピアとネイを除く四人に囲まれ、抱き付かれていた。
「あなた達……」
 バスの時同様、ピアが頭の痛そうな声を上げる。
 俺は小さく笑い、上体を軽く起こして言った。
「ピア、おいで」
「私までご主人様に迷惑をかける訳には……」
「迷惑じゃないから、ほら」
「む……」
 ご主人様がそう言うなら、と呟いて、ピアも俺の傍に寄ってくる。
 一人残されたネイが困り果てた表情でいるのに、俺は少しばかり息を漏らして笑い、
「ほら、ネイも」
「し、しかし……」
「ネイ、あなたも来なさい。命令ですよ」
「う、わ、分かりました」
 失礼します、と前置いて俺の傍に寄ってくるネイ。
 顔は赤く、その動きは硬い。
「嫌なら無理しなくてもいいんだが」
「い、いえ! そんな事はありません!」
 笑みと共にそう言ってやると、ネイは意を決したように俺の傍に座り込んだ。
 六人の妖精に囲まれて、俺は柔らかいベッドに再び上体を預ける。
 小さく息を吸うと、彼女達から匂う特有の甘い香りが鼻腔を満たした。
「ふー……」
 ゆっくりと息を吐いて、目を閉じる。
 彼女達が来てからは、毎日のように色々な事があった。
 先輩が隣にいた頃とはまた違う、楽しい日々。
 だからこそ、あの瞬間を思い出す。
 先輩の時のような事が、また起きるのではないかと。
「……どうかしましたか? ご主人様」
 目を開けると、眼前にこちらを覗き込むピアの顔があった。
「ん、ああ。ちょっとな」
「少し顔色が悪いように思いますよ。大丈夫ですか?」

『ん、大丈夫? ゆーくん』

 不意に、脳裏に先輩の声が過ぎる。
 声質も言葉も違う台詞だったが、何故かそれがピアの声と重なって、記憶の奥に染みた。
「……」
「……ご主人様? っ、きゃ!?」
 無言でピアを抱き締める。
 彼女の小さな身体の内にある、人間とさして変わらない体温。
 それを確かめるように、強く強く。
「ご、ご主人様。少し、苦しいです」
「――ああ、すまん」
 非難の声に謝るが、彼女の身体に回した腕の力強さは緩めなかった。
 今離せば、何かが起こりそうで怖かったから――


 どれだけそうしていたのだろうか。
 気付けば、俺はピアを抱き締めたまま眠ってしまっていたようで、目を覚ました時には部屋はすっかり暗くなっていた。
「――あ、お目覚めになりましたか」
 声の主は、まだ俺の胸元に抱き締められているピアのもの。
 ふと見れば、ピア以外の五人は俺の周囲で小さな寝息を立てていた。
「ピアは、寝なかったのか」
「あ、いえ。少し寝付けなくて」
「あ、ああ…… すまん。抱き締めたまま寝てしまったからな」
 さぞ寝難かっただろうと思って、しかし首を傾げる。
「でも、俺が寝ている間に振り払えば良かったのに」
「いえ、あの。決してご主人様の上が寝にくかった訳ではなくてですね。その、どうにも緊張してしまいまして」
 言って、ピアは呼吸を落ち着けるように静かに息を吐いた。
 その小さな手を自分の胸元に押し当て、何かを確認するように小さく頷く。
「どうした?」
「い、いえ。何も問題ありません。只今八時頃ですが、どうなさいますか?」
「ふむ」
 八時か。
 夕食を食べ損ねてしまったなと思うと、急速に腹が切なくなってくるから不思議なものだ。
 この時間は普段なら夕食を終えて、ゆっくり風呂にでも――
「……そうだな」
 何故忘れていたのだろうか。
 周囲を見渡し、ベッド脇のライトスタンド傍に小さなパンフが置いてあるのを見つける。
 手に取って数枚ページを捲ると、すぐにその項目は見つかった。
「ピア、風呂にでも行くか」
「あ、はい。では急ぎ準備を――」
「違う違う。部屋に備え付けの風呂じゃない。温泉だよ温泉」
「あ、そう言えば温泉があるのでしたね」
 五人を起こさないようそっとベッドを離れ、入口傍の衣装棚を開ける。
 そこには予想通り、一着の浴衣と――
「……ん? ピア、これ合うか?」
「はい?」
 普通の浴衣の傍においてあった六つのモノ。
 それは非常に小さいながらも、デザインは明らかに浴衣のそれだった。
「何でしょうか、これは」
「浴衣っていう、まあ見ての通り服だな。着れそうか?」
「ちょっと待って下さい。 ……はい。私達にほぼ合う大きさですね」
「そうか」
 やはり、という思いと同時に、一体何を考えてるんだろう、という思いが夏美さんの笑みとともに脳裏を過ぎる。
「まあいい。行こうか」
「はい」
 部屋を出て、人気の無い廊下を二人で歩く。
 持ってきたパンフの案内に従って二分ほど歩くと閑散とした待合室に入り、その向こうに湯と書いてある暖簾が見えた。
「ピア、一応聞いておくが、ロッカーとかの使い方分かるか?」
「はい。大丈夫です」
「そうか、なら大丈夫だな」
 湯と書いてある暖簾と、男と書いてある暖簾を潜る。
 更衣室の中は待合室同様に閑散としていて、静かに回る扇風機の音がやけに耳に響いた。
 俺達以外に宿泊客がいるのだろうか? この旅館は。
「何だか、商売する気があるのかどうか疑わしい旅館ですね」
「だな……」
 取り敢えず、持ってきた浴衣とタオルを適当なロッカーに入れて、服の裾に手を掛ける。
 ……あれ?
「……ピア?」
「はい、何でしょうか?」
 隣を見れば、俺と同じように浴衣とタオルをロッカーの中に入れ、外套のボタンに手を掛けているピアがいた。
「何って。何故君がこっちにいるんだ?」
「え、いてはいけなかったのでしょうか?」
 俺の台詞に疑問符を浮かべる彼女。
 あのな、と俺は前置いて、
「君は人間で言うと女の子なんだから、こっちに入ってきちゃ駄目だろう。女性は反対側の暖簾だ」
「そ、そうだったのですか」
 しかし彼女はそう言いつつも、さっと周囲を確認して、
「今はご主人様しかいませんし…… どうしても駄目でしょうか?」
「……まあ、君が構わないなら」
 そう答えた俺は一体どんな顔をしていたのやら。
 俺の見ている前で、ピアはおずおずと外套を脱ぎ始めた。
 純白の外套のボタンが外され、あの日に見たのと同じ下着が姿を現す。
 薔薇のような花を象った装飾が成された、ブラ、ショーツ、ガーターベルト、ニーソックス。
 それに加え、あの日には無かった、肘まであるぴったりとした手袋。
 いずれもその色は彼女の髪と同じで、新雪のように白い。
 次いで彼女が手を掛けたのはブラ。
 留め金を外し、取り除くと、そこそこ大きく形のいい乳房が少し震えながら零れた。
 思わず触れて揉みたくなるのをぐっと我慢して、ピアの脱衣を見守る。
 次に外したのはショーツ。
 ガーターベルトの上に穿いているそれを膝の下まで落とし、片足ずつ抜き取る。
 現れた幼い縦筋は慎ましやかな佇まいを持っていて、あの日の行為でもその形をまったく崩してはいないようだった。
「ご、ご主人様?」
「何だ?」
「あの、お脱ぎにならないのですか?」
 顔を僅かに染めながら、しかし露になった乳房と縦筋を隠さずに彼女が問うてくる。
 その質問に、いつの間にか自分が彼女の着替えに夢中になっていた事に気付いた。
「あ、ああ。俺も脱ぐよ」
 何だか致す前の会話みたいだな、などと馬鹿な事を思いつつ、手早く服を脱ぐ。
 流石に彼女の前という事で、裸の腰にタオルと一緒に持ってきた手拭いを巻いて、申し訳程度に股間を隠す。
 見れば、丁度彼女も残った下着を脱ぎ終えたようで、一糸纏わぬ姿になっていた。
「……」
 気付けば、じっと俺の裸に注がれる彼女の視線。
 なんだか非常に気恥ずかしくなって、たまらず俺は一つ咳払いをした。
「あまり眺めないでくれ。他人に自慢出来るほど筋肉はないぞ」
「あっ、も、申し訳ありません」
 赤くなって視線を逸らす彼女。
 お互いに恥ずかしさで視線を逸らしてしまったので、そこで会話が途切れてしまう。
 こうなる事が予想出来ていたから、女の方に行って欲しかったのだが……
「ま、まあとにかく。入るぞ」
「は、はい」
 綺麗な肌を曝け出したまま隠そうとしないピアを連れて、足早に浴場へと向かう。
 先に俺が浴場の入口から中を窺って、ピアを招き入れた。
 浴場はほぼ木造の広々としたドーム状の空間で、大勢の人が入れるようになっているのだが、ものの見事に誰もいない。
 耳に入ってくる音といえば、給湯口からちょろちょろと流れ出る湯の音ぐらいだ。
「本当に誰もいないのでしょうか……」
「君が男湯にいる時点で誰かいて貰っちゃ困るけどな。取り敢えず、入ろうか」
「はい」
 指先で湯の温度を確かめてから、湯船に入る。
 肌触りのいい檜風呂。この浴場内で一番大きいようで、広さは十メートル四方はあるだろうか。
 その端っこで、俺は肩まで湯に浸かって大きく息を吐いた。
「ふー…… いい湯だ。ほら、君も入れ」
「では、失礼しますね」
 言って、ピアの小さな足が浴槽に掛けられ、恐る恐ると湯に入ってくる。
 そこで俺は、彼女にとってこの浴槽の縁は高すぎるという事にようやく気付いた。
「ほら、無理するな」
「も、申し訳ありません」
 両手を差し伸べてやると、素直にそれを小さな手で掴んでくる。
 彼女達の体重はいいとこ二キロ前後しかない。たとえ片手でも抱え上げるのは容易だ。
 俺は腕に軽く力を込め、彼女をゆっくりと引き上げた。
「降ろすぞ。いいか?」
「あ、はい。ゆっくりお願いします」
 彼女の裸身をなるべく見ないように、その黒曜石の瞳を捉えながらゆっくりと彼女の身体を湯の中に降ろす。
 が、しかし。
「……大丈夫、か?」
「う、いえ、あまり……」
 結論から言うと。
 彼女の身長では、湯船の底に座ると顔まで浸かってしまうのである。
「……仕方ないな。ちょっと失礼するぞ」
「え、あっ」
 昼にバスの中でしたように、彼女を俺の膝の上に乗せる。
 これで丁度いい塩梅になる、のだが。
「いい湯だな」
「そ、そうですね……」
 どうにも、彼女の柔らかい肌の感触が直に太腿や腹に当たってしまって、風呂の良さに集中出来ない。
 特に、尻と思しき柔肉の感触が、どうしようもなく下半身を刺激してくる。
 なんとか気を逸らそうと、俺は胸元にある彼女の白髪を撫でた。
「ピアは温泉は初めてか?」
「い、いえ。妖精郷にも温泉が沸く地域がありますので…… 何度か、行った事が」
「そうか」
「は、はい」
 思わず声が僅かに震えてしまう。
 その所為か、心なしかピアの声も僅かに震えているような気がした。
「――っ」
「どうした? 息を大きく吸って」
「いえ、あの。ご主人様」
 不意に彼女が息を大きく吸って、身体を動かした。
 その身体の向きが変わり、彼女の顔がこちらを向く。
 同時、柔らかな乳房が俺の胸板に押し付けられた。
「ん、どうした?」
「あの、その、ですね」
 押し付けられた乳房の感触に、大きさではミゥの方が上か、などと失礼な事を思いつつ。
 珍しく、非常に要領を得ない彼女の声に、耳を傾ける。
「――ええと、まだかな、と思いまして」
「まだ? すまん、何の事だかよく分からないんだが」
「っ…… ええと、ですね。てっきり、私をお召し上がりになるのかと思いまして、その」
 顔を真っ赤にして、ピアはそんな内容の事を言った。
 召し上がる? 俺が? ピアを?
「……どこでそんな言葉を覚えたんだ」
「以前、帝都で娼婦が言っていたのを…… って、そんな事はどうでもいいではないですか」
 恥ずかしさで赤くなった顔を、それでも強気にぐっと近付けてきて、
「共に湯浴みに、とお呼ばれした時から覚悟は出来ていましたので…… どうぞ、私の身体をご堪能下さい」
 と、ややぎこちなく微笑んでそう言った。
 俺はひとつ息を吐いて、彼女の頭を撫でながら言う。
「あのな。ひとつ勘違いしてるようだから言うが、俺は別に君を抱きたくて、行こうって言った訳じゃないぞ」
「そ、そうなのですか……」
「あと、俺の事をそれほど好きでもないのに無理に抱かれる必要はない。好きや嫌いで君達の事を追い出したりしないからな。分かったか?」
「……はい」
 かくりと肩を落として、彼女は頷く。
 全く、無理をする必要はもう無いのに、と思い、少しばかり起こした上体を再び浴槽に預けた、その瞬間だった。
「……ミゥが、いますものね」
 ぽつりと。
 小さな、呟くような声だったが、確かにそれは俺の耳に届いた。
 暗い感情の入り混じった、己自身を嘲笑するような声。
「なんだって?」
「ご主人様には、ミゥがいるから、私なんか抱く必要ないって、そういう事なんですよね」
 何かの間違いかと思って聞き返すと、今度は俺の顔を見据えて、はっきりと彼女は言った。
 黒曜石の瞳に、薄らと涙を浮かべて。
「おい待ってくれ。何でそうなる?」
「申し訳ありません。私なんか、目障りですよね。お先に、お邪魔します」
 言ってすぐ、彼女は俺の身体から離れ、浴槽の縁に手を掛けた。
 出て行こうとする彼女の身体を、咄嗟の判断でとにかく捕まえる。
 一瞬だけ、シゥの時のような力が俺に襲い来るのではないか、という恐怖が頭を過ぎった。
 しかし、幸いに彼女は人間の手を引き剥がすには無力過ぎる力を己の身体に込めたのみ。
「離して下さい! 私、馬鹿みたいでっ……!」
「落ち着け。君はまだひとつ勘違いしてるぞ」
 無力に暴れる彼女を俺の手中に引き戻し、顎を取ってこちらを向かせた。
 その端正な顔は感情に歪み、頬には零れた涙が透明な線を引いている。
「はっきり言うぞ。俺は君達六人の中で誰が一番好きで誰が一番嫌いとかはない」
 涙に濡れたその瞳をはっきりと見据えて、俺は続ける。
「確かにミゥとはよく身体を重ねてるが、それは彼女の気持ちがはっきりしていて無理をしてないと分かってるからだ」
「でも、私も……!」
「ああ、分かった。君の気持ちも。でも、最初に俺に抱かれた時、君はかなり無理をしてるように思えた」
 だから、本当は嫌だったんじゃないかと。
 仲間の、他の五人の為に無理をしていたんじゃないかと。
「そう思っていたから、俺はあの日以来君に求めなかった。そんな嫌な取引がなければ君達の今が成立しないとは思って欲しくなかったからだ」
「私が、嫌いだからでは、ないのですね……?」
「そんな事あるものか。君は可愛いし、綺麗だし、性格としては面倒見のいい所が好きだ。一度決めた事を頑なに守ろうとする所もね」
 そして少しばかり言葉を選びながら、最後に俺はこう付け足した。
「それに――性的魅力も十分にある。出来るなら男として俺は君を抱きたいと思ってる」
 直接的な台詞。
 涙を止めてこちらを半ば呆然と見つめるピアに、言わなきゃ良かったか、と思いつつ数秒。
 みるみるその顔が赤くなって、恥ずかしげに彼女は告げた。
「では、その証明に…… どうか私を、ご主人様の好きなように、してください」


 まずは身体を洗わないか、という俺の提案に、ピアは幾分明るい調子で、はい、と頷いた。
 二人で洗い場に行き、まずは俺が手拭いと石鹸を取る。
「ピア、洗ってやるからそこに座って」
「え、そんな……」
「好きなようにさせてくれるんだろ? さ、早く早く」
「わ、分かりました」
 鏡の前にある小さな木製の椅子にちょこんと腰掛け、神妙な表情で背後に立っている俺を鏡越しに見つめてくるピア。
 その、やや不安げな瞳に笑みを返して、俺は石鹸を擦り付けた手拭いをピアの身体へ押し付けた。
「あっ……」
「さ、洗うぞ」
「は、はい」
 まずはあまり力を込めず、やんわりと。
 彼女の絹のような肌の上を、泡立った手拭いを滑らせていく。
 まずは肩から始めて、脇腹へと向かう。
「んっ」
「どうした?」
「いえ、少し、くすぐったかったので」
「そうか、すまん。我慢してくれ」
 小さく笑いながら、俺は手拭いを彼女が感じる方向へわざと滑らせていく。
 彼女が鼻を鳴らし、小さな声を上げる度、俺の興奮も少しずつ高まってくる。
 ややあって流石に気付いたのか、彼女が疑問の声を上げた。
「ご、ご主人様、っあ、な、なんかわざとやってませんか? んっ」
「そんな事無いぞ?」
「そ、そうですか? っ、んんっ!」
 手拭いを彼女の身体の前に回した瞬間、指先で乳首の先端を弾く。
 なだらかな曲線を描いている腹部を、手拭いで包んだ指を使って愛撫していく。
「あ、う…… ご主人、さま、っ」
「あまり変な声を上げないでくれ。洗ってるだけだぞ? 集中出来ない」
「は、はい…… っあ、申し訳、ありません」
 彼女の鼻に掛かった声に笑いながら抗議し、洗っているだけだと強調する。
 そんな茶番めいた言葉に、本気で申し訳なさそうに声を上げまいとする彼女がとても愛おしい。
「んっ、ご、ご主人様、何故笑って、っあ、い、いるのですか?」
「いや、何でもない」
 調子に乗った俺は、更に愛撫をあからさまにする。
 彼女の乳房を手拭いの上から触り、撫でる。
 そこで彼女が俺のその手を見つめ――何も言わないのを確認し、俺は彼女の乳房を手で包んでさわさわと揉み始めた。
「ん、く、んっ……」
 最早どう見たって愛撫でしかない行為に、口を貝のように強く閉じて、声を抑える彼女。
 その声の調子を見つつ、俺はどんどん愛撫を進める。
 左手に胸を任せ、右手を彼女の太腿へ這わす。
 自身の大事なところへ近付きつつある手に、彼女の身体が小さく震えた。
「あ、う…… ご主人、様……」
「もうちょっとだ。我慢してくれ」
 僅かに息を荒げる彼女に、笑ってそう囁く。
 胸を揉む手を止めず、太腿を上へ下へと撫で回す。
 それに合わせて彼女の視線がちらちらと動くのが分かる。
「……っ」
 太腿の手を、彼女の幼い縦筋へと近付ける。
 瞬間、僅かに聞こえた、唾を飲む音。
 それを嘲笑うように、決して彼女のそこには触れないよう、焦らすように太腿や下腹を撫で回す。
「っ、あ…… ご主人様ぁ、お願いですから……」
 ややあって、上気した顔に潤んだ瞳をして、彼女はそう訴えた。
 俺はそれに笑みを返して、右の手についた泡を湯に流す。
 彼女が期待の眼差しでその手を見守る中、ゆっくりと指先を彼女の縦筋に添えた。
「忘れてたよ。ここも洗わないとな」
「――っ、あ、は……!」
 つぷり、と。
 愛撫で十分に潤んだ縦筋へ、人差し指が埋まる。
 掌で小さな縦筋を覆い、揉みながら、親指を小さな肉芽へと当てた。
「っ、あ、あっ、ごしゅ、じんさま、っあっ」
 刺激に耐えるように、ぎゅっと彼女の瞳が閉じられる。
 僅かに浮いた腰を追いかけながら、人差し指を徐々に彼女の胎の奥へと入れていった。
 結果、彼女は俺の手の上に股を預けるような体勢になっていく。
 指先にこつこつと当たる、彼女の子宮口。
 傷付けないよう注意しながら、ぐりぐりとそこを弄くる。
「っひ、あっ! ご主人さまの、ゆびが、私の、おくにっ…… あ、あっ!」
 面白いように身体を震わせながら感じる彼女。
 やはり、これぐらいの太さが丁度良いのだろうか。
 くちゅくちゅという水音を立てながら人差し指を前後させる度、彼女が可愛らしい嬌声を上げる。
 このままイかせてあげてもいいかな、と思い始めた時、俺はふとある事を思い出した。
「――そうだ、こっちも洗ってあげないとな」
「っ!? あ、え!?」
 そう言って俺が触れたのは、人差し指を銜え込んだ縦筋の傍に息づく菊門。
 左手を胸の愛撫から外し、その指先に彼女の愛液をまぶしてそこへ塗り込む。
「ご、ご主人さま、そこ、っああ、違う、違います…… あっ、あ!」
「違わなくないぞ。ここも洗わないといけないじゃないか」
「でも、そこはっ、あ、ああっ、ひ、んっ!」
 人差し指の動きを激しくし、彼女の抗議を沈める。
 その間に、小さな菊門を撫で回しながら、挿入の準備を整えた。
 まずは小指をゆっくりと差し込む。
「っ、あ、はいって、はいってっ、あ、ああ……っ!」
 ぬるりと。
 塗られた愛液の助けを借りて、小指の中程までが彼女の直腸に埋まる。
 中で腸壁を押し広げてやると、その動きに反応するように括約筋が断続的に締め付けてくる。
 いい感じだ。ミゥと同じように素質があるのかもしれない。
 口に出さずにそう思いながら、小指を抜き取って、人差し指を差し込んだ。
「あ、あっ! ひ、ふと、い……っあ! ごしゅ、じんさま、ぁ、ぬいて……!」
 前を攻め立てられて甘い声を上げながら、後ろの攻めに僅かに苦しむ彼女。
 その小さな額に浮いた汗を舐め取ってやりながら、更に二本の指を動かす。
 快感と僅かな苦しみに徐々に崩れる彼女の姿勢。
 俺の指先と右手に徐々に体重が掛かり、菊門の指までがどんどん奥へと入っていってしまう。
「ほら、ちゃんと立って。あまり腰砕けになると洗いにくい」
「っあ、すみま、あっ、くっ、ああっ! っひ、あ、あ、あ!」
 もう言葉を紡げないほど乱れている彼女を見て、そろそろかな、と推測を付ける。
「あっ、あ、あ、ごしゅじんさま、あっ、わたし、もうッ……!」
 徐々に甲高くなる嬌声。
 俺は頃合を見計らって――指を彼女の胎から抜き取った。
「はい、終わり」
「――ひ、え、う……?」
 臨界に達する寸前で突如として消え失せた刺激に、彼女が呆けたような声を上げる。
 俺は汲んでおいた湯をそっと彼女の火照った身体に掛け、残った泡を洗い流してやった。
「あ、あの、ご主人様……」
「さ、今度は俺を洗ってくれよ」
「は、はい……」
 有無を言わせずに手拭いと石鹸を手渡すと、彼女は至極物足りない表情をしつつもそれらを受け取った。
 彼女の代わりに椅子に腰掛け、楽な姿勢を取る。
 鏡越しに見た彼女の顔は、淫欲と不満がない交ぜになって理性のタガがやや外れかかった、艶のある表情をしていた。
「……では、洗いますね」
 鼻に掛かった声のまま、そう言って手拭いを押し付けてくる。
 僅かに背中に当たる、彼女の荒い吐息。
 興奮を燻らせたままのその手付きは、非常に艶かしいものだった。
「ん、ふ……」
 ぴた、と張り付いてくる彼女の絹のような肌。
 気付けば、彼女は手拭い以外にも、自身の身体を俺に押し当てていた。
「あふ…… ご主人さまぁ……」
 むにゅりと背中に当たる、二つの柔らかい感触。
 乳房を押し当てているのだろう。乳首らしき少し硬い感触のものが、あたかも背中を洗うように押し付けられてくる。
「こら。ちゃんと洗ってくれよ」
「はい……」
 聞こえているのかいないのか。
 どこか呆けた声で返事をし、手拭いと一緒に乳房や下腹、腕を擦り付けてくる。
 それでも背中を洗い終わったのか、ややあって前に回り込んできた。
「失礼します…… ん、ああ……」
 言って、俺の太腿に跨ってくる彼女。
 くちゅり、と潤んだ縦筋が俺の太腿と密着し、彼女が小さく震える。
「……大丈夫か?」
「はい…… だいじょうぶ、ですから……」
 何だか心配になって聞くと、彼女はどこか妖しげな笑みと共にそう答えた。
 手にした手拭いを持って、俺の胸板へと押し付けてくる。
 彼女が力を込めるたび、彼女の縦筋と俺の太腿が擦れ合って、生暖かい感触と共に彼女がぶるりと震えた。
「は、あ…… ご主人さま…… んっ、はぁ……」
 悶えながらも、役目は忘れずに必死で洗ってくれる。
 そんな彼女にまた悪戯がしたくなって、俺は彼女が僅かに動くタイミングに合わせ、太腿を僅かに跳ね上げた。
「あ、んっ! あ、ぁ……」
 一際高い声を上げて、彼女の動きが止まる。
 それが妙に面白くて、二度三度と繰り返した。
 その度に彼女は高い声を上げ、俺の身体を洗おうとする動きが止まる。
「ほら、手が止まってるぞ」
「あぁ…… もうしわけ、ありません…… ん、んっ!」
 白々しいやり取り。
 しかし、それをもう理解しているのか、それとも淫欲で見えなくなってしまっているのか。
 彼女は俺に謝りながら、身体を洗い続ける。
 そして、ついに。
「ご主人さまの、おっきい……」
 俺の太腿から降りて両膝の間に座り込んだピアは、そう呟くように言った。
 洗うべき場所は、もうそこだけだ。
 勃起した俺のモノから片時も視線を外そうとしない彼女に、俺は穏やかに言う。
「どうするかは分かるよな?」
「はい……」
 手拭いを床に置いて、彼女は俺のモノを手に取った。
 左手を先端へ、右手を根元に添えて、眼前にある赤黒い亀頭を数秒、まじまじと見つめて。
「では、失礼します……」
 言って、彼女はそのグロテスクな先端を躊躇いなく咥えた。
「ん、ちゅ、れろ、んん…… ふぅ、ん、ちゅ……」
「……っ、く」
 時には舌で溝をなぞり、時には頬に亀頭を押し付け。
 先端がやっと入るぐらいの小さな口で、一生懸命に俺のモノを頬張ってくれる。
「ごひゅじんさま…… きもひ、いいですか?」
「ああ、いいよ」
 頭を撫でてやると、目を細めて嬉しそうにする彼女。
 まだ動きは拙いものの、彼女が俺のモノを喜ばせる為に頑張ってくれているという事が、快感を増長する。
「んっ、ん、ふぅ、ん…… んぅ、んんっ……」
「あまり無理するな」
「ん、んん……」
 彼女の小さな口では、俺のモノの全体の三分の一を収めるのも厳しい。
 少しでも奥に飲み込もうとする彼女の目に、苦しげな涙が浮かぶ。
 大丈夫かと心配になる反面、俺の身長の半分にも満たない小さな彼女にこんな事をさせているという背徳感が俺をより興奮させる。
「ん、く、んんっ……」
 彼女の苦しげな声と共に、よりモノが彼女の口の中へと沈む。
 亀頭を喉の奥の柔らかい感触が包み、その気持ちよさに限界が近付いてくる。
「っ、出すぞ」
「ん……」
 彼女が小さく頷いて――不意にざらりとした感触の、彼女の舌らしきものがエラを擦り上げた。
 どく、という脈動と共に、精液が俺のモノの中を駆け上がる。
 視界が一瞬だけ白く染まったと同時、俺は彼女の口内に精液を吐き出していた。
「ん、ん、く、んっ……」
 どく、どく、どく、と。
 断続的に彼女の口内へ白濁液を吐き掛ける。
 彼女は喉の奥でそれを一滴たりとも零さすに受け止め――その小さな口内に留めて置けなくなったか、こくこくと飲み下し始めた。
 健康的な肌色を持った喉が、脈動の、どく、どく、という音と、飲み下す、こく、こく、という音と共に小さく上下する。
 やがて精の脈動が終わると、彼女は残った精液を一息にごくん、と飲み干して、最後に俺のモノをまんべんなく舌で拭った。
 ぷは、という開放の吐息と共に、少しばかり萎えた俺のモノが吐き出される。
 そして彼女は俺を見上げて、淫蕩な笑顔で微笑んだ。
「いかがでしたか……?」
「ああ、良かった。さ、そろそろ本番にしようか」
 言うと、彼女は俺の胸元に頬を寄せて、小さく頷いた。


 俗に言うお姫様抱っこでピアを再び浴槽まで運び、一緒に湯に身体を沈める。
 俺のモノを入れる前にもう一度彼女の縦筋に指を当てると、そこは俺の愛撫の時よりも潤っていた。
 恐らく、俺のモノを口にしている間もずっと濡らしていたのだろう。
 そんな彼女に小さく笑いながら、俺は彼女を膝の上に乗せ、背中を捕まえて――いわゆる背面座位で挿入の準備をする。
「挿れるぞ」
「あ、ちょっと待って下さい……」
 言って、彼女は体勢を変えた。身体の正面をこちらに向け、彼女が見上げれば俺の顔が視界に入る――いわゆる対面座位となる。
「こっちがいいのか?」
「いえ、その……」
 問うと、彼女は明確には答えず、俺の胸板に頭を預けてきた。
 思い出せば、彼女と最初に交わったのがこの体勢だっただろうか。
 俺は声を出さずに笑って、彼女の白髪を撫でる。
「じゃあ、いくぞ」
 愛液の滴る彼女の縦筋にモノの先端を合わせ、軽く彼女の腰を引き下げる。
 くち、という小さな水音と共に縦筋が開かれ、先端が僅かに彼女の割れ目へ潜り込んだ。
 更に力を込めると、ぬる、と狭い膣穴を掻き分けて、先端が更に彼女の胎へと沈む。
「っ、ああ、あっ、あッ……!」
 肉の槍が少しずつ自分の大事な所を貫いていく感覚に、彼女が堪らず上擦った声を上げる。
 その進行に合わせて彼女の下腹が僅かに盛り上がり、外から見ても何処まで貫通しているのかが容易に分かった。
 彼女の声に苦痛がないのを確認しながら、更に腰を進める。
 そしてモノの半分が埋没した辺りで、亀頭が子宮口を叩いた。
「大丈夫、か?」
「は、はい…… あ、う、だいじょうぶ、です……」
 腹部を襲っているだろう圧迫感に荒い息を吐きながら、途切れ途切れに彼女はそう答えた。
 痛みはないようで、苦しげな表情の中に快感の色が見えるのが幸いか。
「っ、は、あ、ご主人さまは、どうですか……?」
「ああ、ピアの中、凄く気持ちいいよ」
 実のところ、気持ちいいで済ませられる快感ではない。
 男のモノを受け入れた彼女の胎内は、彼女が身じろぎをする度に、呼吸を一つする度に蠢いて、絶え間ない快感を与えてくる。
 それに加え、処女肉のような締め付けをしつつも、たっぷりと潤んでモノの動きを阻害する事がない。
 こういうのを極上の名器と言うのだろうか。
「動かすぞ。いいか?」
「あ、は、い…… どう、ぞ…… っ、あッ!」
 彼女の尻を掴んで揉みながら、まずは軽くモノを一往復させる。
 凄まじい締め付けの中、それでもぬるりと肉棒は動き、ずる、と軽く抜けた後、こつ、と彼女の子宮を叩いた。
 その衝撃にか、彼女が一際甲高い声で鳴き、小さく痙攣する。
 しばし彼女が落ち着くのを待って、もう一度動かした。
 今度は先ほどよりも、やや大きく。
「あ、っ! ひッ! や、あっ! あ、あっ、あッ、ああッ!」
「……っ、く、ぉ」
 ちゃぷちゃぷと耳に響く湯の音の中。
 こつこつこつ、と小刻みに――彼女からすれば大きいストロークで――腰を動かし、子宮を叩く。
 その度に彼女は喉を反らし、ぎゅっと目を瞑って快感の悲鳴を上げた。
 その小さな身体を力一杯俺に押し付け、俺の背中に回した手で爪を立ててくる。
 俺はその痛みで自分の快感をコントロールしながら、ひたすらに彼女を責め立てた。
「あっ、あっ、あッ、あ、ひっ、あ、あ――あああああッ!」
 不意に、尾を引く悲鳴を上げて彼女がくたりと脱力する。
 絶頂に達したのだろう。一瞬だけ膣内が激しく締まり、俺の快感も急激に上昇した。
 何とか射精はせずに、息を整えながら彼女の様子を見る。
 自分の身に何が起きたのかよく分かっていないであろう彼女は、しかし意外に落ち着いた様子で、力なく俺の身体に抱き付いていた。
「どうだった?」
「はい…… 目の前が、真っ白になって…… 凄い、です」
 荒い息を吐きながら、淫蕩な笑みを浮かべて俺の問いに答える彼女。
 そこにやや余裕が感じられて、俺は小さく首を傾げた。
 ややイき慣れているように見えたのだ。
「なあピア」
「は、い…… なんでしょう、か」
「勘違いだったら済まない。君、俺に最初に抱かれた時から今日まで、自分で弄くってた事あるか?」
「……いえ、そんなことは、ありません、が」
 嘘だと分かった。
 聞いた瞬間、彼女の胎がびくりと震えたからだ。
 俺は小さく笑って、彼女の尻を掴む手に力を込める。
「ピア、嘘はよくないんじゃないか?」
「う、嘘など…… あ、あッ、ご主人さまっ、お腹がッ……!」
 ゆっくりと、彼女の身体を沈めていく。
 まだ半分ほど残っている肉棒が、彼女の子宮を押し上げて僅かに沈む。
 更に盛り上がる下腹に、彼女は堪らずそこを掻き抱いた。
「お腹がッ…… 壊れ、こわれちゃいますッ……! やめっ……」
「本当はどうなんだ?」
「あ、あッ……! も、もうしわけ、ありませんッ…… ゆるし、てっ……!」
 許して、の懇願に俺は力を緩め、肉棒の位置を戻した。
 彼女の耳元に囁くように、本当の答えを聞く。
「本当は?」
「しゅ、週に三、四回ぐらい、です……」
「ふむ、宜しい」
 芝居がかった口調で言って、彼女の髪を撫でる。
「結構、淫乱さんなんだな、ピアは」
「い、淫乱?」
「気持ちいい事が大好き、って事だよ」
「何だか、あまりいい響きの言葉では、ないような気がしますが…… そう、なのかも知れません」
 呟くように、自分を淫乱だと肯定するピア。
 世間ではどういう風に使われているかを知ったら、彼女は怒るだろうか。
「あ、あの? ご主人様、何故お笑いに…… っ、あッ!?」
「気にするな。さ、二回目行くぞ」
「っあ、ちょ、っ、ひ、あ、あッ、まって、くだ、あっ、あッ!」
 こつこつ、と再び彼女の子宮を叩く。
 既に一度絶頂に達しているからか、彼女はすぐにまた上り詰めていく。
 徐々にストロークを大きく、強くしながら、処女を奪った時のお返しとばかりに、ただ彼女を達させることを考える。
「ひ、ア、あっ、ら、めッ、っあ、あ、あッ――!」
 大きな痙攣の直後、再び彼女の身体から力が抜け、頭が垂れてその小さな額がこつんと俺の胸板に当たった。
 今度は休みなく、ワンテンポ置いた後にすぐさま腰の動きを再開する。
「っ!? あ、ひッ、あ、あっ、あッあ、あああッ、くひッ、あ……!」
 数秒の後、間髪入れずに三度目の絶頂。
 彼女がイく度に、膣内の具合は良さを増して、俺の快感を高めていく。
 最後に、今までの運動の中で最も強く、彼女の子宮を亀頭で叩いた。
 瞬間、彼女が四度目の絶頂に達し、俺の我慢も限界に達した。
「く、ぉ……!」
「っ、あ…… ごしゅじんさまの、出てる…… あつ、い……」
 どく、どく、どく、と。
 彼女の子宮に多量の精液を注ぎ込みながら、俺は浴槽に力なく背を預けた。
 呆けた様子で何事かを呟きながら、注がれる精で徐々に膨れ上がる自分の下腹を見つめる彼女。
 不意に、その瞼がゆっくりと落ちた。
 疲れて眠ってしまったのだろうと思い、しばし髪を撫でてやる。
 すると彼女は子供や猫がそうするように、心地よさげに強く身を寄せてきた。
 そんな仕草に俺は微笑みを浮かべ、そろそろ上がろうかと彼女の胎からモノを抜いて――
「……お?」
 抜けない。
 正確には、抜こうとすると、俺の背中に回された彼女の手や足にぎゅっと強い力が掛かり、抜き取るのを許さないのだ。
「……ピア?」
 実は起きているんじゃなかろうかと思って声を掛けたが、俺の耳には彼女の穏やかな寝息が響くばかりで返事はない。
 どうしたものかと、俺は後頭部を掻きつつ、湯気の立ち込めるドーム状の天井を仰いだ。


 ――これは、なかなか拷問だ。
 モノをピアの胎に入れたまま、俺は何とか部屋の前まで戻ってきた。
「あ、んっ……」
「っ、く」
 一歩を踏み出す度、その振動で彼女の中を俺のモノが動き、それに反応して彼女の胎がきゅっと締まる。
 二度の射精で長らく半勃ちだった肉棒も、道中の刺激で元の硬さを取り戻していた。
 本当は起きてて楽しんでるんじゃないだろうな……
 完全に勃起している俺のモノに貫かれながら穏やかに眠る彼女を軽く睨み付け、俺は部屋の扉を開けた。
 部屋は俺達が出てきた時同様に電気はついておらず、五人のものと思われる寝息も聞こえてくる。
「っ、せっと」
 彼女を落としたり潰してしまわないよう気を付けて、洋室の方の空いているベッドに寝転がる。
 なるべく添い寝している風に見えるよう布団を掛けて…… 後は彼女が五人よりも早く目覚める事を祈るのみだ。
 もしもこの状態が見つかったら、何を言われるか分かったものではない。
「……お休み、ピア」
 返事はないが、俺は強く抱き付いて離れようとしない妖精の少女にそう声を掛けて、瞳を閉じた。
 彼女の頭を撫でながら、暗闇を感じる。
 行為の疲れからか、モノに小刻みな刺激を受けながらも、何とか俺の意識は眠りに落ちていった。

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続きを楽しみにしてるんだぜ。

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